医療過誤の対応

医療過誤の対応について

 日本医療安全調査機構のレポートによれば、同機構に報告された医療事故の件数は、1か月あたり30件(ほぼ1日に1件当たりのペース)起きているとのことです。報告されなかった事例やヒヤリ・ハット事例があることを考えれば、毎日全国どこかしたらで医療事故が起きてしまっているともいえるでしょう。

 いくら気を付けてもミスというのは起きてしまうものです。では、もし医療事故が起きてしまったらどうすればよいでしょうか。医療事故が起きた場合には、当然ですが、医療事故の被害を最小限にするための対応(二次被害を防ぐ)ことになります。そのうえで、医療事故の原因を調査し、再発防止策を立てていくことになります。

 当事務所では医療事故が起きてしまった場合の適切な対応について、ご提案致します。

Medical malpractice
医療過誤の具体的な対応

 

医療事故の初動対応

 医療事故が起きたときに、その医療事故の原因について調査する(=勘所を見つけておく)ことが大切です。仮に、医療従事者のミスなど医療機関側に責めに帰すべき事由があることが明らかなのであれば、患者には丁寧に謝罪しつつ、医師損害賠償保険の利用を視野に進めていって紛争化しないように心がけるべきです。逆に医療従事者のミスではなく、患者側の思い違いであることが明らかであれば、患者には丁寧に対応することは大切であるにしろ、自分の責任を認めるかのような謝罪をさけるべきです。悩ましいのはこれらの中間的な事案であり、多くの事例がこの中間的な事例に位置するかと思います。

 いずれにしろ医療事故の原因について見立てを立てておくことは、その後の対応を考えるためにも重要なことです。また見立てを立てるためにも、弁護士が役に立つと思いますので、医療事故が起きた瞬間に弊所に相談いただければと思います。

初動対応のポイント-医師賠償責任保険の利用について

 医療機関としては、通常医師賠償責任保険に加入しているかと思います。日本医師会の医師賠償責任保険制度を利用されている場合が多いと思いますが、それ以外の医師賠償責任保険に加入されているケースもあります。

 実は、加入している医師賠償責任保険によって、紛争の対応のやり方が変わります。例えば、日本医師会の医師賠償責任保険制度であれば、まず、都道府県医師会に報告する必要があります。都道府県医師会から日本医師会へ事故報告がなされ、日本医師会が調査委員会へ調査を付託することとなります。

 医師賠償責任保険を利用するかどうか自体も検討する必要があります。日本医師会の医師賠償責任保険は免責金額100万円ですから、仮に損害賠償額が100万円に達しない場合には、医師賠償責任保険を利用する経済的メリットがありません。

 医療賠償責任保険を利用するかどうかも含めて、初動対応で検討する必要があります。

 

日頃から医療事故に備える

 

 

 

 

▽医療事故・医療過誤への対応について